広大熱工学メルマガ62号(2012.5活動報告)

                     広島大学大学院工学研究科 熱工学研究室
                       (松村・井上・神名・柳田研究室)
                            松村幸彦
                            井上修平
                            神名麻智
                            柳田高志


風薫る5月、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。5月の活動報告を送らせていただきます。今回
は、出版・発行を待っていたものが一気に出て少し論文数も多くなっています。毎月この程度出る
ことが理想なのですが、なかなかそうも行きません。

5月には、2ヶ月間の予定で、タイからThun君, Art君, Mek君の3人が来日しました。新B4も研
究が開始となり、そろそろ実験結果が出ている学生もあるようです。11月にバンコクで会議があ
り、それに出る条件は、TOEICで600点以上、まとまったデータがあること、で、自然と研究にも力
が入ります。

これから何をするにも英語は重要で、熱工学研究室ではB4で600点、Mで800点を目標にして進めて
もらっています。ことしのB4は半分以上が600点をすでにクリア。やはり、TOEICが卒業要件となる
と力が入るのでしょうか。

研究推進の観点から、研究室名の通称をスタッフの名前として表示する方向で工学研究院で話が進
んでいます。一応、上記の研究室名も副題を追加しました。

今回は、スタッフカラムを井上准教授から送らせていただきます。また、寄稿を社会人博士D3の宗
綱洋人様とM1の中原大輔様からいただいています。


■ スタッフカラム(井上修平)

正式にご挨拶させていただくのは、「はじめまして」の方も多いと思います。簡単に自己紹介させ
ていただきます。佐古先生が定年退官されることになり、後任として2004年4月に助手として着任
しました。ちょうど国立大学が法人化された年で大学内にも大きな変化があったことでしょうが国
立大学時代は学生であったため個人的にはよく分かりません。

よく分からないまま、翌年の3月から一年間ドイツのカールスルーエ大学に滞在することになりま
した。そのときは早すぎると感じ、数年後考えていますと言うと当時の教授であった菊地先生から
「行きたいときに行けるというものではない。私がいる間はフォローするからとりあえず申請して
みなさい。」と、言葉を頂き幸運にもカールスルーエに滞在することができました。滞在中、松村
先生が来られましたがお土産にいただいた真空パックのウナギの蒲焼きがとても美味しかったのを
覚えています。これ以来、海外出張で日本人に会うときのお土産はいつもウナギの蒲焼きです。松
村先生が研究室を引き継いだ後も自由にテーマ設定させていただき、周りのサポートもあり何とか
やってきている状況です。

ここ数年感じるのは意外なところで偶然つながっているということです。まず、私の卒論のテーマ
は擬臨界域におけるアンモニアの熱伝導率の相関式を作成することでした。現在のテーマと共通す
る点はありませんが、熱工学研究室では超臨界を扱っています。博士3年のとき初めて海外で発表
しましたが、そのとき特に熱心に議論した相手がドイツ時代に同じ研究グループにいました。ドイ
ツの研究所にいた日本人(他のグループですが)に広大から来たと話すと、広大で知っている先生
が一人いると・・・。なんと菊地先生でした。実は他にもまだあるのですが、ここまでにしておき
ます。

今後も主に国内外の会議で様々な人に出会うでしょうが、いつの日かうれしい偶然の再会や共同研
究のきっかけにできるよう人との出会いを大切にしていきたいと思っています。くだらない昔話が
ほとんどでしたが、今後ともよろしくお願いします。


■ 寄稿(宗綱洋人様)

広島県立総合技術研究所の宗綱です。この春卒業された方々には、少しずつ新しい環境にも慣れて
こられたことと思います。私は現在、社会人コースの3年生で、今はまとめに入り、まとめるとい
う作業の難しさを感じながら学位論文を書き進めているところです。

私の職場は県立の研究所ですが、近年、私の所属する研究所ではπ型研究員の育成というものが進
められています。これは、複数の専門を有する研究員を育成するというものですが、今回はこれに
関連した内容を書こうと思います。

複数の専門を持つには、当たり前ですが非常に多くの知識が必要です。私は、大学院に入り、先生
に広い視野を持つようにと常々言われてきました。例えば、データ一つ見るにしても様々な角度か
ら可能性を考えてみるということですが、これには本当に幅広いことを知っておく必要がありま
す。また、私のテーマは食品廃棄物の超臨界水ガス化ですが、一口に超臨界水ガス化といっても、
これに関連・競合する技術は沢山あり、ガス化といっても様々な反応が進行し、バイオマスといっ
ても色々で、より理解を深め、研究内容を分かり易くまとめるためにも非常に重要なことと改めて
感じています。企業の方からの相談などを受けるにしても、やはり情報を多く持っているとそれだ
け的確に返答もできますし、時間を掛けずに依頼にも応じることができると思います。

広い視野を持つということはなかなか難しいことですが、日ごろから心がけることが職場で求めら
れるところのπ型研究員に近づくことだと考えていますし、単に研究という職種に限らず仕事をし
ていく上で大切なことであるということを勉強させて頂いていると思いつつ、まとめの論文を書き
進めています。

以上、拙い文章で申し訳ありませんが寄稿させて頂きます。今後とも宜しくお願いたします。

■ 寄稿(中原大輔様)

皆さんこんにちは。修士1年の中原大輔です。初夏になり、すごしやすい季節がやって参りました
が、皆様いかがお過ごしでしょうか。

研究室の近況ですが、タイから新しいメンバーがやってきました。歓迎会も行われ、これからメン
バー全員で頑張っていきたいと思ってます。

最後に私事ですが、新しく来たMekくんの実験のサポートをすることになったので、研究はもちろ
んですが、英語の方もよりいっそう勉強に精をだし、うまくコミュニケーションがとれるように頑
張っていきたいと思っています。


■ 5月の学会発表、講演等

<著書>

松村幸彦:『バイオマスプロセスハンドブック』編集委員長、部分執筆, 「用語マップ」(pp.vi-
xiv)、「1.1.3 伝熱」(pp.12-13), 「1.2.3 移動特性」(pp.30-35 田之上健一郎と共著), 「1.3.3
熱交換」(pp.50-53), 「1.4.10 水熱ガス化」(pp.292-298)、「附録」(pp.439-505), 化学工学
会・日本エネルギー学会共編, オーム社 (2012.5).

柳田高志:『バイオマスプロセスハンドブック』「1.2.2 熱力学的量」(pp.27-30), 化学工学会・
日本エネルギー学会共編, オーム社 (2012.5).


<論文・総説(査読あり)>

Tau Len-Kelly Yong, Yukihiko Matsumura: Catalytic gasification of poultry manure and
eucalyptus wood mixture in supercritical water, Ind. Eng. Chem. Res., 51(16), 5685-5690
(2012.3) [DOI: 10.1021/ie202385s]

Miki Shimogori, Hidehisa Yoshizako, Yukihiko Matsumura: Determination of coal ash
emissivity using simplified equation for thermal design of coal-fired boilers, Fuel,
95, 241-246 (2012.5) [DOI: 10.1016/j.fuel.2011.11.005]

Nara Suankaew, Yukihiko Matsumura, Isara Saramala, Uracha R. Ruktanonchai, Apinan
Soottitantawat, Tawatchai Charinpanitkul: L-Menthol crystal micronized by rapid
expansion of supercritical carbon dioxide, J. Ind. Eng. Chem. (Seoul, Repub. Korea), 18
(3), 904-908 (2012.5) [DOI: 10.1016/j.jiec.2011.08.007]

Miki Shimogori, Toshihiko Mine, Noriyuki Ohyatsu, Noboru Takarayama, Yukihiko Matsumura:
Effects of fine ash particles and alkali metals on ash deposition characteristics at the
initial stage of ash deposition determined in 1.5 MWth pilot plant tests, Fuel, 97, 233-
240 (2012.7) [DOI: 10.1016/j.fuel.2012.01.036]

下郡三紀, 嶺聡彦, 大谷津紀之, 寶山登, 松村幸彦: 1.5 MWth炉灰付着試験での熱流束低下挙動に
基づく、石炭焚きボイラでのスートブロワ頻度に関する検討, J. Jpn. Inst. Energy, 91, 417-
424 (2012)

<講演>

李承珪, 井上修平, 射場勇士, 松村幸彦: ナノカーボン材料による充填層の有効熱伝導率の改善,
平成24年度中四国熱科学・工学研究会研究討論会, 2012.5.26, 松山.


<その他>

Chutinan Promdej: Editor, Subaragoi Magazine, 4.

Kelly Yong Tau Len: Editor, Subaragoi Magazine, 4.
Phacharakamol Phothidsantikul: Editor, Subaragoi Magazine, 4.
Thachanan Samanmulya: Editor, Subaragoi Magazine, 4.
同前豪: Editor, Subaragoi Magazine, 4.
Chutinan Promdej: Internship experience in Japan, Subaragoi Magazine, 4, 1 (2012.5)
Phacharakamol Phothidsantikul: How to get Japanese driver license!?!, Subaragoi
Magazine, 4, 2 (2012.5).
Kelly Yong Tau Len: Melaka, Subaragoi Magazine, 4, 3 (2012.5).
Kelly Yong Tau Len: Special interview to Mohd. Hafif Basha, Malaysia, Subaragoi
Magazine, 4, 4 (2012.5).
Obie Farobie: The most beautiful places in Indonesia, Subaragoi Magazine, 4, 5 (2012.5).
Obie Farobie: Indonesian beef ribs soup, Subaragoi Magazine, 4, 6 (2012.5).
Thachanan Samanmulya: Top 10 Thai dishes you just have to eat, Subaragoi Magazine, 4, 6
(2012.5).
Chatree Asayatamanon: Kanazawa City, Subaragoi Magazine, 4, 7 (2012.5).
Kornpat Naiyaporn: Travel in Japan by Seishn 18 kippu, Subaragoi Magazine, 4, 8
(2012.5).
松村幸彦:電話取材対応, 中国地域のバイオマスについて, 毎日新聞, 2012.5.2
Yukihiko Matsumura: crossword puzzle, Subaragoi Magazine, 4, 9 (2012.5)

○関連トピックス
『身近なエネルギー利用のしくみ』, 広島大学次世代エネルギープロジェクト研究センター編, 広
島大学出版会 (2012.3) [ISBN:978-4-903068-21-3]が販売開始になりました。編集委員長は多幾山
教授ですが、松村が編集幹事、井上が編集委員として、一般の方にもエネルギーについての興味を
持っていただくためにと作成した本です。是非ご購入、ご一読ください。広島近辺でしか販売して
いないのですが、Amazon を通して、

http://www.amazon.co.jp/%E8%BA%AB%E8%BF%91%E3%81%AA%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%AE%E3%81%97%E3%81%8F%E3%81%BF-%E5%A4%9A%E5%B9%BE%E5%B1%B1-%E6%86%B2/dp/4903068218

から購入できます。

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